途方

途方に暮田

ネロの火を逃れてハチ公前で会う

 

決定版フローチャートで前世がわかる!

 

(衿草遠馬「春に式神」)

 

1句目、たった17文字の中で時代も場所も超えることができるっていう川柳の良さを端的に表しています。「ネロの火」「ハチ公前」ってチョイスもエモい……。2句目、勢いでこられると笑っちゃいますね。

 

 

 

 

感情はなんでもありじゃないカレー

 

すこしだけ煙るからやめよう身投げ

 

(佐原キオ「おそろしい麦茶」)

 

「カレー」の唐突さ(3音余っててもここに「カレー」入れる? という。「感情はなんでもありじゃないカレー」というカレーの種類のようにも見える)、5・5・7、しかも「やめよう身投げ」の4・3のスピード感、面白かったです。🍛

 

 

「これって音楽ですか?」「いや、廊下です」

 

家族写真をコーラで溶かす

 

喉に星をかがやかせ狂う父

 

(杉倉葉「家族写真」

 

「骨が溶ける」的な風評のあるコーラの胡乱な雰囲気と「家族写真」の組み合わせが良い意味で悪い! 正気を失う家族、のモチーフは川柳の好むところだけどこの句も怖いな……

 

上に挙げたような句は杉倉さんの句の中ではおそらく異質……な気がします。

杉倉さんの句の良さについては小津夜景さんのインタビュー②にくわしいので、ぜひそちらを。

 

senryusuplex.seesaa.net

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「ゆるしてあげる」ってすごいことばだよなあとおもう。ゆるすとかゆるさないになったらもうそれはどちらにしても〈ゆるさない世界観〉だ。


(柳本々々「クリームソーダゆるしてあげるを思い出す(2月18日)」、『バームクーヘンでわたしは眠った』)

 

苺が挟まってるきがするんです(1月19日)

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わるいことしてきてるからピースもできない(1月26日)

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ランドルト環にマカロン挟むプロ

 

プチョヘンザ神に隠れる場所はない

 

(衿草遠馬)

 

デルフォイの神託」「犬神」「検非違使」等、語の選択に今・ここを離れようと志向する力を感じ、好きです。「ランドルト環」は景がかわいくて面白い。「プチョヘンザ」はすごすぎます、プチョヘンザか……